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2026.09.02

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SDカードの写真は蒸発して消えます ― 知っておきたいデータ保存の仕組みと対策

ご挨拶

こんにちは、インフラ事業のグループリーダーをしている、伊藤です。
今回はブログを書く事を依頼されて何を書こうか考えていた時に子供と会話したことから、思い付きでザっと書いていこうと思います。

プロローグ

我が家には、プラスチックの蓋つきカップに海で拾ったキレイな石と海をイメージした青い水を入れていた作品がある。
これは子どもが小学生の時に作ったものだったが、1年~2年ほど経った今見たら1センチほど水が減っていた。

子どもから聞かれた。
『水がこぼれないように密閉していたのになぜ水が減ったの?』

これについて
「実はプラスチックは目に見えない「分子の隙間」だらけで、水分子はこの隙間を通り抜け、外へ抜けていくのだ。(プラスチックの「水蒸気透過」)

それと、この蓋は完全な密閉が出来ないので、水蒸気が逃げる事はある。」
と教えた。

という事で今回は、似た話として時間が経つとデータが蒸発して失われる可能性があるという話を書こうと思います。

そもそもSDカードは何に記録している?

※本記事では、文章の校正および一部画像の作成に生成AIを使用しています。
SDカードの中には、フラッシュメモリと呼ばれる半導体が入っています。
現在のSDカードで主に使われているのが「NAND型フラッシュメモリ」です。
SDカードだけでなく、

• microSDカード
• USBメモリ
• SSD
• スマートフォンの内蔵ストレージ

などにも、同じ仲間の技術が使われています。

では、その小さな半導体の中に、写真や動画をどうやって保存しているのでしょうか。

実は「電子」を閉じ込めて覚えている

フラッシュメモリの中には、ものすごい数の小さな「記憶場所」があります。
これをメモリセルといいます。

そして、そのメモリセルでは、
非常に小さな場所に電子を出し入れすることでデータを記録しています。
上の話に絡めたイメージで言うと、セルは蓋付きカップで、電子はカップに入った水です。

 

 

このように「水が入っている状態」と「入っていない状態」の違いを利用して、コンピューターが扱う「0」と「1」を表現します。

実際のNANDフラッシュでも、絶縁体に囲まれた「電荷をためる部分」に電子を出し入れし、その状態によってデータを記憶します。
ここが、SDカードを理解するうえで一番大切なポイントです。
SDカードのデータとは、物理的には「電子の状態」と言えます。

※本記事では仕組みを分かりやすく説明するため、フラッシュメモリのセルを「カップ」、セル内に蓄えられた電子を「水」にたとえています。
また、「水が減る」「電子が漏れる」という表現も、あくまでイメージをつかみやすくするための比喩です。
実際のフラッシュメモリでは、電子の移動や電荷の変化によってセルのしきい値電圧が変化し、
その結果、保存されたデータを正しく判別できなくなることがあります。

電源を切っても、なぜデータが消えない?

パソコンのメモリ(RAM)は、電源を切るとデータが消えます。
ところがSDカードは、カメラから取り外しても写真が消えません。
なぜか?

先ほどの「電子を入れておく場所(セル)」が、電子を入れたあとフタを閉めて保管できる容器だからです。

電源を切っても、電子はその場所に閉じ込められたままになります。
このように、電源がなくても情報を保持できるメモリを『不揮発性メモリ』と呼びます。

これが、
『SDカードを引き出しに入れておいても写真が残っている理由』
です。

では、なぜ永久には残らないのか?

ここで重要なのが、
「電子を閉じ込めている」といっても、完全に永久に閉じ込められるわけではない
ということです。
長い時間が経つと、閉じ込められている電子が少しずつ変化していくことがあります。

フラッシュメモリは、この電子の量による電気的な違いを読み取ってデータを判断しています。

そのため変化が大きくなると、
これは「0」だったのか?
それとも「1」だったのか?
という判定が難しくなってきます。
これが、フラッシュメモリにおけるデータ保持(Data Retention)の問題です。

SD Associationも、NANDフラッシュには、時間の経過などによってメモリセルに蓄えられた電荷が変化し、データを正しく保持できなくなる「Retention loss(保持損失)」というNAND固有の性質があると説明しています。

※[用語]:SDアソシエーション(SD Association)とは、SDメモリーカードの規格策定や標準化、普及促進を行う世界的な業界団体です。

実際には「0と1」だけとは限らない

ここから少しだけ詳しい規格の話です。
昔ながらの単純なフラッシュメモリでは、1つのカップ(記憶場所)が満タンか、水が入っていないか、2種類の状態を記録していました。

ところが、これでは容量を増やすために大量のカップが必要になります。
そこで現在のフラッシュメモリでは、1つのカップに複数の状態を持たせる技術が使われています。

例えば、以下のように、細かく区別します。

こうすると、同じ数のメモリセルでも、より多くの情報を保存できます。
これがMLC、TLC、QLCなどと呼ばれる技術につながります。

 

現在一般に販売されているSDカードでは、1つのメモリセルに3bitを記録する「TLC」が広く使われています。
以前は2bitを記録するMLCも多く使われていましたが、より大容量で安価な製品を作りやすいTLCへ主流が移っています。さらに大容量化を狙って、1セルに4bitを記録するQLCを採用したmicroSDカードも登場しています。

例えばTLCでは、1つのセルに3ビット分の情報を保存します。
容量を増やせる素晴らしい技術なのですが、一方で、
それぞれの状態の境界が細かくなる
という特徴があります。

一つのカップで多くの情報を持つことができる反面、水の量が少し変化しただけでも、隣の状態と区別しにくくなります。

「SDカードは何年で消える」のか?

では、SDカードは何年でデータが消えるの?
と思うでしょう。

残念ながら、
「○年で消える」と一律には言えません。
カードの品質、使われているNANDの種類、使用環境や状況によっても大きく変わるためです。
個人的な意見ですが、一般的な使用でSDメモリーカードに入れたデータ寿命は「5年~10年」を目安にするといいと思います。

※書き込み回数が多かったり、暑い場所に置いていたりすると寿命に影響します。

目安なので
10年前のSDカードが普通に読めた
ということも当然あります。
反対に、
絶対に失いたくない家族写真をSDカード1枚だけに入れて10年間保管する
という使い方はおすすめできません。

実はSDカード自身も「間違い」を直している

ここで、
少し電子が減っただけで写真が全部壊れるの?
と思うかもしれません。
実際には、そう簡単には壊れないよう工夫されています。
SDカードの中には小さなコンピューターのようなコントローラーが入っています。

このコントローラーは、

• データの読み書き
• 劣化した領域の管理
• 書き込み場所の分散
• 読み取りエラーの訂正

などを行っています。

例えば多少データがおかしくなっても、誤り訂正という仕組みを使って、本来のデータを復元できる場合があります。

電子が少し変化した瞬間にデータが消えるわけではありません。
内部ではかなり高度な仕組みでデータを守っています。
これはとても有難い機構です。

それでも、訂正できる限界を超えれば元のデータを読み出せなくなります。

SDカードは「保存庫」より「持ち運ぶ箱」と考える

では、私たちはSDカードをどう使えばよいのでしょうか。
一番分かりやすい考え方は、
SDカードを「永久保存する場所」と考えないことです。
例えば旅行から帰ってきたら、重要な写真は別の場所にもコピーするのがおススメです。

特に、

• 子どもの写真
• 結婚式
• 卒業式
• 家族旅行
• 仕事上重要な写真や動画

など、「もう二度と撮ることのできないデータ」は、SDカード1枚だけに置かない方が安全です。

コピーしただけで安心せず、時々確認する

そして、これはSDカードに限った話ではありません。
HDDもSSDもDVDも、永久に保存できるわけではありません。
機械は故障しますし、記録媒体も劣化します。
だから、本当に残したいデータは、

「一度保存して終わり」ではなく、時々新しい媒体へ移していく

という考え方が重要です。
例えば数年に一度、
昔の写真はちゃんと開けるかな?と確認して、

新しいSDカード、他のHDDやクラウドなどへコピーし直す。

デジタルデータを長期間残すには、こうした「引っ越し」をしていくことが重要です。

夢の情報記録媒体

ここまでSDカードは永久保存には向かない、という話をしてきましたが、最後に少し未来の記録媒体を紹介します。

近年、非常に長期間データを保存できる媒体の研究が進んでいます。

それは――ガラスです。

数年前までは高純度の特殊なガラスが必要でしたが、最近ではビーカーなどにも使われるような比較的安価なホウケイ酸ガラスへの記録も実現されたと発表がありました。

研究ですが、DVD程度の幅の約12cm×12cm、厚さ2mmのガラスに約2TBのデータを保存できたそうです。
そして耐久性はというと
290℃という過酷な環境でも1万年以上の長期保存ができるとされています。

もちろん、まだ一般家庭で使える製品ではありませんし、一度書き込んだ情報を消す事はできませんが、歴史資料や映像、研究データなど「何千年も残したい情報」の保存方法として注目されています。

もし家庭で使えるほどに一般化されれば、SDカードが電子の状態で情報を記録する一方で、大事な写真はガラスに保存!という未来があるかもしれません。

 

 

【出典】
SD Association, What to Know Before Storing Data on a SD Memory Card, 2017
https://www.sdcard.org/ja/press/thoughtleadership/what-to-know-before-storing-data-on-a-sd-memory-card-2/
データをガラスに刻む「プロジェクト・シリカ」、実用化に向け大きく前進
https://wired.jp/article/microsoft-silica-femtosecond-laser-glass-archive/

 

・おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
子供との会話から、ブログ内容を思いついてツラツラ書いていたら、思いのほか長くなってしまいました。
こんなに長いのに情報としては多くないというブログになってしまいました。。
最後に、これまた思い付きで今回のブログ下書きをAIのCopilot君に読んでもらって概要をまとめた一枚画像を作ってもらいました。
それがこちら。


(致命的な数字誤りなどがあり実は、手で若干修正しました)

・・・全然これでいいじゃない。。。
これだけ見てもらえば十分かもしれません。